映画作家・想田和弘
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『演劇2』 (Theatre 2)

演劇とは、コストも時間もかかる超アナログな芸術である。逃れがたく経済が付き纏う。青年団の事務所には『三文オペラ』の文句が掛けられている。「まず食うこと それから道徳」。しかし、不況と財政難で公的な芸術関連予算は縮小傾向に。この逆境に対する平田の戦略は、シンプルかつ遠大なものだった。「演劇が社会にとって必要不可欠である事」を世間に納得してもらおうというのだ。平田は文字通り東奔西走する。教育現場や地方の演劇祭、果てはメンタルヘルスケア大会まで、その知識とノウハウを伝えていく。政治家への働きかけも積極的だ。他方で、海外進出やキラーコンテンツとしての「ロボット演劇」など、助成金に頼らない劇団経営を模索する。『演劇1』が「平田オリザの世界」ならば、『演劇2』は「平田オリザと世界」を見つめる。それは、演劇という芸術を通して、高度に資本主義化された現代社会を問い直す試みでもある。
演劇の上演を見るのは無論おもしろいけれど、本当は稽古もとてもおもしろい。でも稽古は基本的に見世物ではないから、そのおもしろさをお客さんに渡すことがどうにも難しい。僕はそれを残念だと思ってる。
「演劇1」「演劇2」では、演劇のリハーサルの現場が見られる。演出で演技が変わることを目の当たりにできる。それを見てほしい。もっともこの映画には、それ以外にもたくさんの見所がある。でも演劇の作り手として、僕はまずその点を特に、みなさんに見てほしい。
ー 岡田利規(演劇作家/チェルフィッチュ主宰)
想田和弘 観察映画第4弾『演劇2』Observational Film #4
2012, 170 minutes, Documentary
ナント三大陸映画祭・若い審査員賞受賞